”東京学芸大学物理学教室同窓会” 定期講演会

日時: 2024年4月20日(第3土曜日) 15:10-16:50
場所: 東京学芸大学附属図書館1Fラーニングコモンズアクティブエリア 及び Zoomミームミティング
参加者 対面:荒川悦雄先生、木下昭一、和田義親、小沢幸光、内藤誠一、学生1
     zoom参加11名

講演
演者:鈴木 智幸
    静岡県公立大学法人 静岡県立大学 
    グローバル地域センター   自然災害研究部門
演題:「絶景の富士山頂から観測した雷雲と宇宙の間で起こる放電発光」
要旨:
 雷と言えば、皆さんは、雷雲内の電気が地上へと流れる「落雷」をイメージするかもしれませんが、電離層と雷雲との間で電気のやり取りを伴う「逆さ雷」とでもいうべき現象があり、これを「高高度放電発光現象」と呼んでいます。雷雲上空で発生する雷放電の一種、「高高度放電発光現象」の仲間が最初に発見されたのは1989年です。しかし、2020年にも新たな仲間の発見がされている分野でもあります。この現象は雷雲上空で起こる雷放電には違いありませんが、その成因が落雷とは異なる放電現象が含まれます。例えば、「レッドスプライト」は、落雷に伴い電離層と雷雲上部に存在すると思われるスペースチャージと間に強い電界が生起することにより放電発光が引き起こされます。一方、「巨大ジェット」と呼ばれる現象は、雷雲雲頂から電離層に放電路が伸びていく現象で直接雷雲内の電荷が電離層に流れる現象です(図1)。高高度放電発光現象や雷放電を富士山から見るとどのように見えるのか?絶景の富士山頂から観測した雷雲・雷放電と宇宙の間で起こる放電発光について、気象と電気の両面からアプローチすると、何が見えてくるのか、積乱雲と雷放電の関係から自然現象の多面性について迫ります。講演では、なぜ、富士山測候所での観測なのかに加えて、これまで行われた富士山測候所における研究についても紹介します。

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